2020年東京オリンピックのボクシング競技(2020ねんとうきょうオリンピックのボクシングきょうぎ)は2021年7月24日から8月8日まで国技館で実施されたオリンピックのボクシングである。

背景

2017年6月9日、国際オリンピック委員会 (IOC) 理事会は2020年東京オリンピックのボクシング競技会では前回の男子10から8、女子3から5に種目数を変更すると決定した。2020年7月25日から8月9日に実施する日程が決定。そののち、2018年までに(アマチュア)ボクシングの国際競技連盟である国際ボクシング連盟 (AIBA) に対して財政、ガバナンス、倫理および審判の分野における問題があるとして同団体のIOC除名および競技のオリンピック除外が検討される。2018年8月8日、ボクシングのオリンピック除外の可能性は高い状況にあり、同日の日本ボクシング連盟会長山根明の辞任表明でも「東京オリンピックに参加できなくても、その次のオリンピックもあります。頑張ってください。」と述べられるほどであった。

2019年5月22日のIOC理事会で、AIBAに対して本競技会開催権利の剥奪をするものの同競技のアスリートであるボクサーたちのことを考え、本競技会は開催する方針が立てられた。国際体操連盟会長兼IOC委員の渡辺守成を座長とした特別作業部会(ボクシング・タスクフォース)が本競技会の開催権を持つ方針となった。6月19日の理事会では同方針と特別作業部会メンバーにはAIBAについて知識・経験のあるIOC理事ウィリー・カルシュミット=ルハン(グアテマラ)、ウガンダのNOC会長のIOC委員ウィリアム=フェレデリック・ブリック、格闘技界から国際柔道連盟会長のマリウス・ビゼール(オーストリア)、アスリートを代表して近代五種競技女子のアーヤ・メダニー(エジプト)の4人をあてる特別作業部会の改革案を承認した。6月26日、IOC総会でこれらの実施方針などが承認された。種目構成も2017年6月9日のIOC理事会決定のまま実施することも同IOC総会で承認された。この様な不確定要素があったために観戦チケットの募集および販売は他競技よりも遅れた。

新型コロナウイルス感染症流行の影響によりオリンピックの開催延期が決定すると、国技館を所有する日本相撲協会は本場所で国技館を優先使用しているため、仮に春か秋の開催なら使用させないと表明した。そののち、2021年7月24日から8月8日の夏に東京オリンピックのボクシング競技を実施することが決定した。

概要

男子、女子共に階級ごとに出場選手数が異なり、合計で男子186名、女子100名の計286名の選手が出場権を獲得する。各国からは各階級1選手の出場が認められており、選手は下記の条件により五輪の出場資格を得る。

  • 各大陸予選の上位選手(アフリカ:ディアムニアディオ、アメリカ:中止(世界ランキングにより出場選手を決定)、アジア&オセアニア:アンマン(武漢市から変更)、ヨーロッパ:ロンドン、パリ(3日目終了後に中止、2021年6月に残りの日程をパリで実施する))
  • 世界最終予選(開催地:パリ)の上位選手(アメリカ予選の中止に伴って世界最終予選も中止となった。)
  • 世界ランキングの上位選手(各大陸1名ずつ計4名(女子フライ級のみ計5名))(世界最終予選中止の代替)
  • 開催国日本の選手(男子は最大4枠(ヘビー級とスーパーヘビー級は対象外)、ウェルター級の岡澤セオンがアジア・オセアニア予選で出場枠を獲得したため1枠を返上し3枠(フライ級:田中亮明、ライト級:成松大介、ミドル級:森脇唯人)。女子は最大2枠(ミドル級は対象外)、フェザー級の入江聖奈とフライ級の並木月海がアジア・オセアニア予選で出場枠を獲得したため2枠を返上し開催国枠は無しとなった。)
  • 主催者推薦枠の選手

試合は1ラウンド3分×3ラウンド、採点は5人のジャッジによる10ポイント・マスト・システムで行われる。

男子

主催者推薦枠の欄には難民選手団の選手2名を含む。

女子

主催者推薦枠の欄にはスポーツ仲裁裁判所の判決などで後から出場資格を得た選手3名を含む。

予選日程

参加国

291名が出場資格を得ていたが2名が棄権したため、競技には289名が参加した。

日程

昼の部(A)は8月3日までは11時、8月4日以降は14時開始、夕方の部(E)は17時開始の予定である 。

競技結果

入江聖奈はボクシング競技で日本人女子初の金メダル獲得。男女を通じても1964年東京大会の桜井孝雄(男子バンタム級)、ロンドン大会の村田諒太(男子ミドル級)に次いで史上3人目。

男子

女子

国・地域別のメダル獲得数

備考

  • 2021年7月27日の男子ヘビー級2回戦、ユーネス・バーラ(モロッコ)対デービッド・ニイカ(ニュージーランド)の試合では、バーラに相手選手の耳への噛みつき行為があったとして失格処分となった。
  • 2021年8月1日の男子スーパーヘビー級準々決勝では、ムラ・アリエブ(フランス)に複数回故意のバッティング(頭突き)があったとして失格となり、アリエブはリングサイドで1時間にわたって座り込み抗議した。アリエブはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴えたが、同月3日、CASはレフェリーの技術的ミスの可能性は排除しなかったものの、失格処分は試合中のもので有効として訴えを棄却した。

脚注

外部リンク

  • ボクシング 競技紹介 - 東京2020オリンピック競技大会
  • ボクシング スケジュール&結果 - 東京2020オリンピック競技大会
  • リザルトブック

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